第32章 心の結び目を解く

浅倉良樹は怒りが募る一方で、まるで取り憑かれたみたいに星野彩実を指さし、怒鳴り散らした。

だが星野彩実はどこまでも淡々と、半歩だけ前へ出る。

「……じゃあ、おじさん。昔、私を抱いて連れて行って、誰かに渡した理由って、それなの?」

浅倉良樹が鼻で笑う。

「笑えるだろ。俺より先に手を回した奴がいたんだよ。星野彩実、お前は“家族に好かれない側”なんだ。帰ってくるべきじゃなかった」

「おじさんはずっと、私が“おじさんの娘の命”を奪ったって思ってたんだよね。だから私が生きてるのは、あの子の代わりにいい思いをしてるってこと?」

「違うっていうのか!」

「じゃあ……私がこの十八年、どうやって生...

ログインして続きを読む