第38章 黒霧の森

ジャグオク王立療養院

ジャグオク王立療養院は名高い療養施設だ。受け入れるのはジャグオク王国の王族、あるいは身分の高い政要に限られる。

そこにジェニーが入院できている。つまり彼女が、この国でどれほどの地位にいるかの証明でもあった。

「おお、私のハニー。やっと来たのね」

星野彩実が扉を押し開けると、ジェニーはもう身支度を整え、入口で待っていた。

彩実は花蝶みたいに飛び込む。

「先生……会いたかった」

ジェニーは生涯、結婚も出産もしていない。世間には「変わり者で扱いづらい」と噂されているが、彼女に認められた相手は皆、結局ジェニーを好きになる。いったん懐に入れてしまえば、こんなにも温かいの...

ログインして続きを読む