第42章 不思議な魔法のカーペット

女は黒い広つばの帽を目深にかぶり、顔の輪郭すら見せない。手元にはレースの手袋――遠目にはヨーロッパの貴族そのものだった。

けれど耳に届いた訛りが、花村秋人の記憶をひっかいた。どこかで、確かに聞いている。

「迎えに来るなって言ったでしょう?」

それだけ吐き捨てるように言って、女は中年の男と並び、空港の出口へ消えていく。

ガラス越しで背格好は判別できない。それでも断言できた。――あの女、見覚えがある。

誰だ、と脳が追いかけたところで、背後から声が飛んだ。

「待たせたな。悪い、秋人」

浅倉拓実だ。

秋人が振り向くより先に、拓実は疲れを隠さず続けた。

「今日は買収の件で急に会議が二...

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