第43章 グルー院長の贈り物

浅倉拓実も行きたそうだったが、秘書が運んできた書類の束は、彼の頭より高かった。拓実はため息をつき、

「分かった。お前が行ってこい」

そう言った。

星野彩実が少し待っていると、玄関先に、やけに目立つシルベーが横付けされた。

「兄さん?」

彩実が窓を軽く叩くと、サングラス越しに端整な顔が覗く。刃物みたいに鋭い顎のライン、きゅっと結ばれた薄い唇が几帳面さを物語っている。仕立てのいいスーツが、男の格をこれでもかと押し上げていた。

花村秋人はサングラスを外し、ドアを開けて降りる。

「花村秋人? なんであんたなの。私の兄は?」

「用事だ。代わりに俺が見に来た」

秋人の視線にはホッツデ荘園...

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