第45章 本命の人形は身につけてはならない

地べたにしゃがみ込んでいたアーズベルクは、ひょいと跳躍して星野彩実の肩へ飛び乗った。前脚――いや、二本の脚をきっちり揃えて立ち、やけに礼儀正しい紳士みたいな顔をする。

「アーズベルクはウォッツ学院の名誉院士なの」

「はあ? この猫が、ウォッツ学院の先生って?」

林田夏美は冗談でも聞いたみたいに首を振った。

「あやちゃん、おばさん、猫を飼いたい気持ちは分かるけどね。浅倉家は本当に無理なの」

「おばあちゃんが猫の毛にアレルギーでしょ。年寄りは抵抗力も落ちるんだから」

「もしあやちゃんがどうしても飼うって言って、おばあちゃんが具合を悪くしたら……あやちゃんだって見たくないでしょ?」

「...

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