第68章 青木陸斗の思惑

星野家は京清市きっての名門というほどではないが、それでも市内ではそれなりに顔が利く家だった。

普段なら、こんな美容サロンごときが星野親子に楯突くなんてあり得ない。

だが今朝は開店前から、店の責任者がわざわざ電話をよこしてきたという。

――星野親子を中へ通したら、スタッフ全員クビ。

生活が懸かっている。従業員としては、どんなに横柄な母娘だろうと、入口で食い止めるしかない。

星野奈菜がまだ引く気配もないのを見て、スタッフのほうも我慢が切れた。

入口脇に立てかけてあった傘をひょいと取り、ぶんぶんと二度ほど振って牽制する。

「星野さん。相手が女性だから、ずっと手を出さずにいました。でも、いい...

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