第72章 私が奢る

ほどなくして。

黒のスーツに身を包んだスタッフが数名、こちらへ歩み寄ってきて声をかけた。

「星野さん。本日の出品物につきましては、カタログのご用意がございません。内容が特殊でして、写真を掲載するだけでも規約違反となります。こちらは規定に従って対応しているだけでございますので、もし当方のルールにご納得いただけない場合は、いまこの場でお帰りいただいて構いません」

「失礼しました。決まりなら、こちらも従います。奈菜、座れ。今日、俺に何を約束したか忘れたのか?」

ついさっき、星野奈菜が「先に見せて」と口にしたとき、青木陸斗が止めなかった時点で分かっていた。――彼自身も、事前に“当たり”があるか...

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