第74章 点天灯

星野彩実が首を横に振らなかったのを見て、ミアは手元のボタンをもう一度、カチリと押した。

ほどなく水晶球の価格は、7600万まで跳ね上がる。

ミアはふいに堪え切れなくなったのか、金色のボタンを叩きつけるように点灯させた。

直後、スタッフが二人、耳元のインカムに口を寄せ、ひそひそと短く連絡を入れる。

競り台の競売人が手を上げて告げた。

「2号個室、点天灯」

その瞬間、電子スクリーンの数字は7600万でぴたりと止まり、微動だにしなくなった。

2号個室の中が浅倉啓太なのか浅倉拓実なのか、あるいは別の誰なのか――そんなことは会場の大半には分からない。だが、2号個室という札そのものが浅倉家を...

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