第92章 おじいちゃんの提案

星野彩実は慌てて車のドアを押し開け、倒れているのが星野信夫だと確認すると、そのまま駆け寄って抱え起こした。

「おじいちゃん、大丈夫!? どこか打ってない? 痛くない?」

星野信夫は八十をとうに過ぎているが、普段から畑仕事も運動も欠かさない。身体はまだまだ達者で、今回は驚いたのが大きかったのだろう。しかも手にしていたヘーゼルナッツが、さらさらと地面に散らばってしまっている。

星野信夫は惜しそうに首を振り、目尻をくしゃりとさせた。

「平気だ、彩実。やっと会えたなあ。おっ、うちの彩実、すっかりべっぴんの娘になったじゃないか!」

「ほれ、じいちゃんに見せてみろ。うんうん、よしよし。背も伸びた...

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