第2章

コール音が鳴り響く。何度も、何度も。

「おかけになった電話番号は、現在使われておりません……」

もう一度かける。同じ機械的な声が返ってくるだけ。

三度目。それでも、だめだった。

私はその場に座り込んだ。気づいた時にはもう、熱くて、怒りに満ちた涙が頬を伝っていた。止めようもなかった。

やっぱり。あんなに気持ちいいことが、現実のはずなんてなかったんだ。

機械的なアナウンスが、耳元でもう一度再生される。

笑い声が漏れた。でもそれは、ひどく歪んでいて、苦々しくて、途切れ途切れだった。「ワンナイトって、こんなふうに終わるものなんでしょ?」

ナイトスタンドには、空っぽの約束を記したメモがまだ置かれたままだった。それを拳で握りつぶし、昨夜の自分を思って、私はただ泣いた。

電車がガタガタと線路の上を走っていく。窓の外を流れていく田園風景を、私はただぼんやりと眺めていた。景色は何も、頭に入ってこなかった。あの夜から、三週間。

もう、やめなきゃ。あの夜の出来事を何度も頭の中で再生するのも、自分の何がいけなかったのか考えるのも、彼が私のことなんて少しでも思い出したりするんだろうかなんて思うのも、全部。

しっかりしなさい、早穂。これから面接がいくつも入ってるんだから。あなたの本当の人生が待ってるのよ。

それなのに、がらんとしたホテルの部屋で目を覚ました時のこと、まるで最初からいなかったかのように彼がもういなくなっていたことを思い出すたびに、胸にぽっかりと穴が空いたような気持ちになる。

その二日後、私は明るくて開放的な喫茶店で、面接の準備をしようとしていた。テーブルに履歴書を広げ、目を通すふりをしながら、実際にはただ虚空を見つめていた。

その時、誰かがテーブルに激突し、丁寧に印刷した書類の上に、私のアイスカフェラテが盛大にぶちまけられた。

「うわっ、ご、ごめんなさい!」気づくと、目の前にいた女の子がナプキンの束を手に、必死で私の書類を救おうとしていた。「私、世界一おっちょこちょいなんです、本当に。新しいコーヒー、奢らせてください。ううん、十杯奢ります。新しいの印刷する必要ありますか?すぐそこの通りにコンビニがありますけど」

彼女は弾丸のように次々と話し続け、私はその言葉をほとんど処理できずにいた。彼女のエネルギーは、私たちの周りの空間すべてを満たしてしまうような、不思議な力があった。心底怯えているように見えるのに、その瞳は明るく温かく、申し訳なさそうな満面の笑みを浮かべていた。

「大丈夫です、本当に」私は履歴書が完全にふやけてしまう前に、なんとかそれを救い出した。「面接はまだ一時間後ですし」

「面接があるんですか?うわ、最悪だ、私、状況をさらに悪化させちゃった」彼女は断りもなく、私の向かいの椅子にどさっと腰を下ろした。「私、山田真彩っていいます。新しいコーヒーと、好きなお菓子、絶対に奢らせてください。これは交渉の余地なしです」

私が何か言う間もなく、彼女はもうカウンターで注文していた。私はただ、呆然と座っていた。彼女には、どうにも腹を立てさせない何かがあった。

淹れたてのカフェラテ二つとチョコレートチップマフィンを二つ持って戻ってくると、彼女はまるで昔からの友達みたいに席に落ち着いた。「それで、その面接について教えてくださいよ。どんなお仕事なんですか?」

結局、私たちは四十五分間、話しっぱなしだった。彼女はちゃんとした質問をしてくれたし、私が答えると真剣に耳を傾けてくれた。自分のマーケティングの仕事のことや、朝の七時に会議を開く悪夢のような上司の話をしてくれた。クライアントに実際のプレゼン資料の代わりに、間違ってミームを送ってしまった話で、私をここ数週間で初めて笑わせてくれた。

「でも、なんだか悲しそうですね」カップの縁から私を見つめながら、彼女は不意に言った。「すみません、文字通り会ったばかりなのに、なんか、目にそういうのがあって」

何と言えばいいのか分からなかった。知り合って、まだ三十分くらいなのに。

「ひどい別れ方をしたんです」私はようやくそう口にした。厳密に言えば、嘘ではなかった。

「あー、男ってほんと最悪ですよね」彼女は芝居がかったように目を回した。「まあ、うちの兄は別ですけど。彼は本当に最高なんです。海外で博士課程をもう六年やってて、ずっと会いたくてたまらないんですよ」

彼女は電話を取り出すと、古くて少しぼやけた写真を見せてくれた。浜辺で、二人の子供がカメラに向かって目を細めている。「小さい頃の私たちです。彼は私が知る中で一番いい人。ああ、彼がやっと帰ってくるのが待ちきれないです」

その写真を見ていると、胸が奇妙な痛み方をした。

「すごく仲がいいんですね」と私は言った。

「本当に最高なんです。あなたも絶対気に入りますよ」彼女は私ににっこり笑いかけた。「彼が帰ってきたら、紹介しますね。まあ、彼のことだから、きっと今やってる研究プロジェクトに没頭しちゃうんでしょうけど。完全な仕事人間なんです」

面接に行かなければならない時間になる前に、私たちは連絡先を交換した。私がオフィスビルに着くよりも早く、山田真彩からテキストが届いた。「絶対にうまくいきますよ!来週またコーヒーでもどうですか?」

私は気づくと、永遠に感じられるほど久しぶりに、電話に向かって微笑んでいた。うん。私たち、きっとすごくいい友達になれる。

三ヶ月後、私は夜明けに目を覚まし、トイレに駆け込むのがやっとだった。胃の中のものをすべて吐き出した。

吐き気がようやく収まると、私はそのままバスルームの床に崩れ落ちた。タイルの冷たさが頬に伝わる。体中が震えていて、死んだも同然の気分だった。

これが初めてではなかった。もう一週間以上、吐き気で目が覚める日が続いていた。それに、生理も遅れている。体調が悪くなり始めた時から、嫌な予感はしていた。でも、すぐに治る一時的な体調不良だと自分に言い聞かせ、その考えを必死に押し殺してきた。だけどもう、自分をごまかすことはできない。

お願い、神様。そんなはずない。

私は鍵を掴むと、パジャマのズボンと古いパーカーのまま薬局まで歩いた。絶対に確信が欲しくて、三種類の違うブランドの妊娠検査薬を買った。

家に戻り、バスルームのカウンターに三つの検査薬を並べる。ばかみたいに簡単な説明書を、二度も読み通した。手がひどく震えて、そのくだらないものをまともに持つことすらできない。

そして、待った。二年にも感じられる、二分間。

一つ目の検査薬を手に取った。

ピンクの線が二本。

二つ目。線が二本。

三つ目。くそったれ、線が二本。

「うそ……」足から力が抜け、私はバスルームの床にどさりと座り込んだ。「ありえない。こんなこと、ありえない」

妊娠してる。私、本当に妊娠してる。

震える手で電話を掴んだ。数ヶ月前に「電話して」と保存した勇気の番号を見つける。ボタンを押すまで、丸一分、その番号をただ見つめていた。

コール音が鳴った。

「おかけになった電話番号は、現在使われておりません……」

もう一度かける。同じ機械的な声。もう一度。何も変わらない。

涙がすぐに溢れ出し、一度流れ始めるともう止められなかった。私は妊娠している。本当に、赤ちゃんを身ごもっている。そして父親は、偽の電話番号を渡して、まるで私たちの一夜が何の意味もなかったかのように、跡形もなく消えてしまった。

これから、私、一体どうすればいいの?

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