ジャスミン

エロナ視点

スタジオは思った以上に寒かった。それは単にエアコンのせいだけではない。足を踏み入れた途端、部屋そのものが私を見つめているかのような冷たさだった。白い壁、カメラの照明、つややかな背景、そして瞬きひとつしない、数えきれないほどの視線。

スタイリストがハンガーを私の手に押し付けてきた。サテンが肌をかすめる感触は、聞きたくもない囁きのようだった。黒いレース、透けるパネル――それは、ただ見られるためのものであって、本当の自分を見てもらうためのものではない種類のランジェリーだった。

「あそこで着替えて」彼女は床にギリギリ届くかどうかというカーテンのかかった、狭いブースを指さした。

試...

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