第5章
【早希の視点】
克人はその写真をじっと見つめたまま、張り詰めていた体を一気に脱力させた。
彼は肺の奥から重く濁った息を吐き出し、壁に寄りかかると、自嘲するように笑みさえ浮かべた。
「そうだな……今年の誕生日は俺と一緒にハワイに行きたいって言ってた……きっと俺に腹を立てて、一人で行ったんだ」
解剖台の上の遺体に目を向け、その声は次第に軽さを帯びていく。
「彼女がここに横たわっているわけがない。俺はどうかしていた」
卯月はスマートフォンを受け取ると、瞳の奥に一瞬だけ得意げな光を走らせ、すぐに心配そうな声をしぼり出した。
「克人、疲れすぎてるのよ……今日はもうここまでにしたら...
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