第十章

東雲芽依が信じないのを懸念したのか、柊紗菜は声を潜めた。

「霧生社長は、東雲お嬢さんを二人きりの食事に連れて行ったことはありますか?」

その言葉は、東雲芽依の痛いところを鋭く突いた。

彼女は目を細め、危険な光が瞳を過った。

「柊紗菜、挑発も程々にするのね」

「さもないと、あんたの柊家の危うい商売、完全に店じまいすることになるわよ」

柊紗菜は顔色を変え、先ほどまでの威勢は瞬時に萎んでしまった。

「私は澪の婚約者よ。あの綾瀬茉莉が何だと言うの?」

東雲芽依は鼻で笑った。

「あんな女、蟻をひねり潰すのと同じくらい簡単よ」

東雲芽依は高圧的に彼女を睨みつけた。

柊紗...

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