第129章

二人の表情が凍りつき、綾瀬茉莉が一体何を企んでいるのか、全く理解できずにいた。

綾瀬茉莉は雪村蛍に視線を向けると、その口調には心からの感心が込められていた。

「叔母さん、私、ようやく分かりました。空があんなに優秀なのは、すべて叔母さんの教育の賜物だったんですね!」

綾瀬茉莉の言葉は、誠実そのものだった。その表情も完璧で、次々と紡ぎ出される言葉はまるで極上の絹のように綾瀬空と雪村蛍を包み込み、一般人にはとても手の届かない『道徳の聖人』という高みへと、二人をしっかりと祭り上げてしまったのだ。

ようやく、二人は事態を飲み込んだ。

自分たちが、降りるための梯子を外されたことに気づいたのだ。...

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