第十七章

綾瀬茉莉はもう、なりふり構っていられなかった。必死の形相で助けを求める。

医療スタッフが病室になだれ込み、迅速に綾瀬の母をストレッチャーへと移した。

「蘇生措置準備!」

主治医が短く命じ、ストレッチャーは滑るように処置室へと運ばれていく。

綾瀬茉莉はよろめきながらその後を追ったが、看護師に制止された。

「ご家族の方はここでお待ちください」

処置室のランプが赤く点灯する。

綾瀬茉莉は全身の力が抜け、壁に背を預けて崩れ落ちそうになった。

廊下の突き当たりには、綾瀬空の姿はすでになかった。

「この恩知らずが! よくも私の娘をぶったわね!」

金切り声が廊下に炸裂した。

綾瀬茉莉...

ログインして続きを読む