第十九章

陽光の下、ゴルフクラブが氷のような冷たい光を放つ。弦巻夫人の歪んだ形相が、目の前まで迫っていた。

「弦巻さん」

綾瀬茉莉は自分を無理やり落ち着かせた。

「先にゴルフクラブで襲ってきたのはあなたの息子さんです。私は正当防衛をしただけ。その後に彼が誰かに暴行されて障害を負った件については、私には関係ありません」

弦巻夫人の平手打ちが飛んできた。

乾いた音が響き、綾瀬茉莉の口角からすぐに血が滲む。

「あんた以外に誰がいるって言うのよ!」

「息子を傷つけたのは事実でしょう? これだけの目撃者がいるのに、まだしらばっくれるつもり?」

「息子さんが普段、どれだけの人に恨みを買っているかご...

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