第200章

「ここから出て、パパとママを探しに行きたいの。ねえおばちゃん、私を連れて行ってくれる?」

 少女の声は甘く柔らかで、どこか怯えたような頼りなさを帯びていた。それはまるで、一枚の羽毛で綾瀬茉莉の心臓をそっと撫でるかのようだった。

 茉莉はしゃがみ込み、少女と視線を合わせた。期待に満ちた大きな瞳、蝶の羽のように震える長い睫毛。その姿を目にした瞬間、胸の奥から強烈な庇護欲と愛おしさが込み上げてくる。

 これまで味わってきた流浪の日々も、父の冤罪を晴らすために奔走した苦難も、すべてはこの純粋な存在を守るための決意へと昇華されていく。

 彼女は迷うことなく頷き、微笑んでその小さな手に触れた。

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