第二十二章

綾瀬空の声は、胸焼けするほど甘ったるかった。

彼女は滑り落ちたキャミソールの肩紐を器用な指先で直しながら、自分では艶やかだと思っている笑みを霧生澪に向けた。

「霧生社長、まさかこんなところでお会いできるなんて奇遇ですわ」

「お噂はかねがね伺っておりましたけれど、今日こうして拝見すると、やはり百聞は一見に如かずと言いますか……」

綾瀬空は興奮のあまり支離滅裂なことを口走っていた。その瞳は獲物を見つけたように輝いているが、同時に綾瀬茉莉に対するどす黒い怨嗟も渦巻いている。

このクズ、霧生澪をこんな場所まで連れ込んでおきながら、私には一言も教えないなんて。霧生澪を独り占めする気だったのね...

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