第三十六章

柊グループを巡る騒動は依然としてくすぶり続けており、綾瀬茉莉も退院を急ぐことなく、今は傷の治療に専念することにした。

「こんにちは、お届け物です」

配達員がドアをノックし、包装の丁寧なランチボックスを彼女の前に置いた。

綾瀬茉莉は怪訝な顔をした。

「デリバリーなんて頼んでいませんけど」

配達員は頭をかきながら、伝票の名前を確認した。

「綾瀬茉莉さんですよね?」

綾瀬茉莉は頷いた。

「なら間違いありません。ご友人かどなたかが注文されたんじゃないですか?」

配達員は携帯端末を確認すると、荷物を置いてさっさと立ち去ろうとした。

綾瀬茉莉が呼び止める間もなく、彼は行ってしまった。...

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