第四十七章

翌日の早朝。綾瀬茉莉がオフィスビルのエントランスに足を踏み入れた瞬間、不意に瞼がぴくりと痙攣した。

セキュリティゲートに社員証をかざし、ゆっくりと開いたエレベーターに乗り込むと、中では数人の実習生たちが声を潜めて話し込んでいた。

彼らは新顔だ。おそらく、今回の採用面接を受けに来たのだろう。

茉莉はそのプロセスをよく知っていた。

自席に着くと、花蒔絵が笑顔で挨拶をしてきた。

「おはよう」

「茉莉ちゃん、おめでとう。実習期間、繰り上げで合格だってね」

蒔絵の溢れんばかりの笑顔とは対照的に、茉莉は無表情のまま社内ポータルサイトを開いた。

『恒栄』の案件は、相手の有罪が確定するに十分...

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