第五十章

激痛に目の前が暗くなる。それでも彼女は、必死に抵抗を続けた。

「無駄な抵抗はやめなさい」綾瀬空が獰猛な笑みを浮かべる。「ここは一番防音の効く個室を選んだの。誰も入って来られないわ」

綾瀬空は彼女の顎を強く掴み、無理やりその薬を口の奥へと放り込もうとする。

錠剤から漂う異様な刺激臭が鼻をつき、喉を締め付けた。

激痛で視界が霞む中、綾瀬空の瞳に宿る歪んだ快感だけは、はっきりと見て取れた。

怒りが込み上げてくる。綾瀬茉莉は、目の前のこの愚か者がもはや救いようのないクズだと確信した。

爪が掌に深く食い込み、その鋭い痛みで辛うじて意識を保つ。

「これで……霧生澪が手に入るとでも?」綾瀬茉...

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