第五十三章

その言葉は、まるで冷水を頭から浴びせられたかのように、彼女たちを凍りつかせた。

社則を犯した者が解雇を免れないことは、周知の事実だ。

彼女たちは急に大人しくなり、消え入りそうな声で詫びを入れた。

綾瀬茉莉は気にも留めない様子を見せ、彼女たちは逃げるようにしてその場を後にした。

給湯室を出ると、少し離れた場所に綾瀬空が立っていた。その顔には、隠しきれない嘲笑が張り付いている。

なるほど、そういうことか。

「愛人」と明言はせずとも、霧生澪が彼女のために社内行事を中止し、さらに家まで送り届けたという事実を、針小棒大に吹聴したのだろう。

今ここで問い詰めたところで、彼女は「上司が部下を...

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