第五十九章

東雲芽依は、叩きつけるような勢いでグラスをテーブルに置いた。

クリスタルグラスの底が大理石とぶつかり合い、硬質な音を響かせる。

激しい怒りに胸を上下させながらも、東雲芽依は必死に感情を押し殺していた。ここで優雅な仮面を崩すわけにはいかない。

彼女の視線は毒蛇のように会場を一巡し、最後に綾瀬茉莉の姿を射抜いた。

「このゲームはつまらないわ。趣向を変えましょう」

東雲芽依はハンドバッグから、金箔押しのトランプを一組取り出した。

「綾瀬茉莉、私と勝負する度胸、おありかしら?」

その場の全員の視線が、一斉に綾瀬茉莉へと注がれる。

まさかこのタイミングで名指しで挑戦されるとは、綾瀬茉莉...

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