第六章

「怪我をしたのか?」

霧生澪は目を開け、彼女の体へと視線を向けた。

綾瀬茉莉は咄嗟に腕を押さえたが、霧生澪の鋭い眼光から逃れることはできなかった。

服の一部が、すでに血で赤く染まっている。

「一緒に病院へ行くぞ」

傷口を見つめ、霧生澪は言った。それは相談ではなく、拒絶を許さない命令だった。

綾瀬茉莉は断ろうとした。これくらいの傷なら、二日も休めば治る。わざわざ病院へ行くほどではない。

霧生澪は彼女の躊躇いを見抜いた。

「ついでに胃の検査もしてこい」

「でも……」

「まだ働いて稼ぐつもりなんだろう? 胃を壊して倒れたら、損害はもっと大きくなるぞ」

一理ある、と綾瀬茉莉は頷...

ログインして続きを読む