第六十章

「ふざけないで!」

東雲芽依はバンッとテーブルを叩いて立ち上がった。

完璧に手入れされたネイルが、テーブルの表面を引っ掻いて不快な音を立てる。

激しく肩で息をする彼女の顔は、精巧なメイクも虚しく、怒りで醜く歪んでいた。

個室の中は、瞬く間に騒然となった。

東雲芽依は周囲を威圧するように睨みつける。すると、すぐに取り巻きの一人が声を上げた。

「綾瀬さん、滅多なことを言うもんじゃないよ! 東雲お嬢様ほどの身分の方が、こんなたかが知れたゲームでイカサマなんてするわけがないだろう?」

「そうよ」

すかさず別の女性社員も加勢する。

「東雲お嬢様は名家のご令嬢なのよ。そんな...

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