第七章

綾瀬茉莉は気まずそうに目を開け、ちょうど彼女を凝視していた霧生澪の視線とぶつかった。

彼女は身を起こした。

「霧生社長、まだお休みにならないのですか?」

綾瀬茉莉は努めて口角を上げ、何事もなかったかのように微笑んでみせた。

霧生澪はしばらく彼女を見ていた。

窓から斜めに差し込む月光が、彼の横顔に冷たく硬質な輪郭を刻んでいる。高く通った鼻梁、薄い唇は一直線に結ばれていた。

「ずっと寝ていたな」

それは疑問形ではなかった。

綾瀬茉莉のうなじに、冷たいものが走った。

彼女は慌てて視線を伏せ、寝起きを装った。驚いた蝶のように睫毛が震える。

「……霧生さん? あ、私、...

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