第八章

髪の根元から引きちぎられるような激痛が走り、背中が冷たいタイルに叩きつけられる。傷口が疼き、悲鳴を上げそうになった。

だが、綾瀬茉莉は手を離さない。それどころか、爪が肉に食い込むほどの力で柊紗菜の手首を万力のように締め上げた。

綾瀬茉莉は一瞬の隙を突いて空の酒瓶を奪い取ると、そのまま大理石の洗面台に叩きつけた。

パリーン!

鋭利な破片を握りしめる彼女を見て、柊紗菜は恐怖で腰を抜かした。

「綾瀬茉莉、気が狂ったの!? 私に指一本でも触れてみなさい……」

柊紗菜は顔面蒼白になり、舌がもつれて呂律が回らなくなっている。

「私のパパが今、どんな地位にいるか知ってるでしょ!? ...

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