第104章 ほのかな敵意

 真っ先に目に飛び込んできたのは、ロングブーツに包まれたすらりと長い脚だった。キャメルのコートの下は白いニット。手にはエレファントグレーのエルメリアのバスケットバッグ。

 頭のてっぺんからつま先まで、洗練とこだわりが滲み出ている。

 相京亜稀は篠原温人の姿を捉えた瞬間、ぱっと目を輝かせた。

「篠原教授、おはようございます!」

「おはよう」

 篠原温人は軽く頷くだけだ。

「亜稀、紹介するよ。うちのチームに新しく来た子で、桜井雨音。亜稀より二つ下だ」

 池園康昭が真っ先にそう告げる。

 相京亜稀はそこでようやく、今日の実験室に見慣れない顔がいることに気づき、笑みが一瞬だけ引っかか...

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