第110章 心を入れ替えた

 男の顔には、抑えきれない苛立ちと不機嫌さが張りついていた。時刻を確認する。まだ9時。なのに家からの着信はもう四、五件――うち三件は母からで、残りは瀬戸美月だった。

 どうせ出ないと分かっているからか、瀬戸美月は一度かけてそれきり。分はわきまえている……と言えばそうなのだが、それでも鬱陶しさは消えない。なかでも、最近あの別荘に「余計な他人」が増えたことを思い出すと、苛立ちはさらに濃くなる。

「まだ早いだろ? もう上がるのかよ」

 高橋周平が時間を見て言った。

 神崎康臣は答えない。周平には分かった。こいつは意識こそはっきりしているが、全身の荒っぽさが今にも噴き出しそうで――下手に触れ...

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