第13章 お前は何様だ

 名家同士の縁談なら、男が外で愛人を囲うなんて珍しくもない。家の「正妻」が問題を起こさなければ、外の遊び相手など好きにさせておけばいい。

 母である自分が、いちいち口を出す必要もない。

 今日は――桜井雨音に、正式に「約束」を与えてやるつもりだった。

 けれど菅原玉恵が思い描いていた、娘が涙ながらに感謝する光景は訪れない。返ってきたのは、冷えた嘲笑だった。

「神崎夫人。施しは他の人にどうぞ。私にはもったいないので。それに――私、神崎康臣とはもう別れました。これから先、会っても他人でいましょう」

 以前の雨音なら、神崎康臣のために菅原玉恵の理不尽を、無条件で飲み込んでいた。

 学歴...

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