第146章 門前で罵られに来る

6月の研究室は相変わらず慌ただしい。桜井雨音は二週間ぶっ通しで回り続け、ようやく丸一日の休みを手に入れた。

 早起きして魚に餌をやったその直後、桜井晋太郎から電話が入る。

「雨音、起きてるか?」

「うん、起きてる」

「もう少し寝ればいいのに。前に言ってただろ、今日は研究室行かないで休むって」

「体内時計がこうなってるから。お母さんは?」

「書斎だ」

「また小説?」

「そう! お前も知ってるだろ、あいつは朝がいちばん冴えるんだ」

 雨音は契約の件を思い出し、視線をわずかに沈めた。

「ねえ、父さん。最近、お母さんの担当編集って来た?」

「いや、来てないけど。どうした? あの...

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