第166章 吊るされた心はついにやはり死んだ

 桜井雨音と柊時宗は石造りのテーブルに並んで腰を下ろし、何やら話し込んでいた。

 ふたりの距離は、やけに近い。

 少女は真剣そのものの顔つきで、男はその言葉を丁寧に拾うように聞き、時折うなずく。

 篠原温人は見逃さなかった。柊時宗の口元に浮かぶ、あるかないかの笑みを。

 ここまで離れていても嗅ぎ取れる。あれは――「求愛」の匂いだ。

 温人の瞳が、わずかに濃く沈む。

 次の瞬間、スマホを取り出し、香村満広に電話をかけた。

「もしもし、温人。どした?」

「タピオカ、飲む?」

「は? ちょ、いまスマホ見たけど、ほんとに篠原からだよな? なんで急にタピオカなんだよ」

「飲みたい?...

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