第179章 約束に赴く男は違う

「この道、50メートルおきに案内板が出てくるんです。図書館の方向も書いてありますし」

 篠原温人は歩きながら、淡々と説明を続けた。

「北キャンパスは大きな環状になっていて……」

 桜井晋太郎はうなずきながら耳を傾け、頭の中で必死にルートをなぞる。

 ――と、そのとき。

 三人が話している最中に、ちょうど桜井雨音が階段を上がってきて、ばったり鉢合わせた。

「え、パパ? ママ? 出かけるの? 外、もうすぐ雨降りそうだけど……」

 そして視線が、篠原温人に止まる。

「教授……どうして、ここに?」

 桜井敏恵が手短に事情を説明すると、雨音はすぐに頭を下げた。

「先生、ありがとうご...

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