第187章 酸っぱくて死にそう、悔しくて死にそう

 人波がぱらぱらとほどけていき、桜井雨音たちは次の展示館へ向かおうとした。ところが踵を返した瞬間、菅原玉恵と真正面からぶつかりそうになって、ぴたりと足が止まる。

 篠原美羽が大げさに「うわ、出た」と声を漏らした。

 桜井雨音は表情ひとつ変えず、すっと視線を外す。

 いまの菅原玉恵は、ただの他人。礼儀も、挨拶も、要らない。見なかったことにすれば、お互い気まずくならずに済む。

 ――そう思ったのに。

 菅原玉恵はなぜか二歩ほど近づき、笑顔を貼りつけて声をかけてきた。

「雨音、あなたも故宮に来てたの?」

 桜井晋太郎と桜井敏恵が目を見合わせる。知り合いなのか?

 しかし娘がこんな相...

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