第29章 真夜中、彼は彼女に電話をかける

 図書館で、桜井雨音は問題集の模試を二回分、立て続けに解いた。けれど、どちらも最後の一問で手が止まる。

 計算をいくら積み上げても、答えに辿り着かない。ふと、以前読んだ本に似た型が載っていたのを思い出し、彼女は席を立って閲覧エリアへ向かった。資料と類題を探し、背表紙を追っていく。

 数分で目的の一冊を見つけ、席へ戻ろうとした、そのとき。

 隣の棚に置かれた本が、雨音の視線を引き留めた。

『遺伝子配列の再組み換えと融合』

 タイトルを見た瞬間、篠原温人の言葉が脳裏をよぎる。雨音は反射的に、その本を引き抜いた。

 ぱらり、と頁を繰る。

 数頁読んだだけで息を呑んだ。根っこの発想が、...

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