第39章 雨音、帰ってきて……

土曜日。天気は上々だった。

 ぶ厚い雲の切れ間から、やわらかな陽が差している。桜井雨音は朝のランニングで少し汗をかき、帰宅してシャワーを浴びると着替えた。その足で、買っておいた薬を手にタクシーへ乗り、西園寺教授の家へ向かった。

「教授。この薬、1日3回です。寒い時期なので冷蔵庫に入れなくて大丈夫ですけど、飲むときは少し温めてくださいね」

 西園寺教授は怖いもの知らずのくせに、薬の匂いだけは大嫌いだった。まずいし、なにより臭い。

 黒々とした薬汁を前に、教授は無言で体を少し引く。それでも最後にもう一度だけ抵抗した。

「……どうしても飲まなきゃいけないの?」

「もちろんです」雨音はき...

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