第52章 交戦

早朝、空港。

神崎康臣はVIPラウンジのソファに沈み込み、ぼんやりとSNSをスクロールしていた。

搭乗まであと三十分。時間がやけに遅い。いっそ次の瞬間にでも、機体が滑走路へ向かってくれればいいのに――。

ふと、指が止まる。背筋が反射的に伸び、体がすっと起きた。

柊時宗が昨日上げた投稿だ。

写真はビーチ。澄み切った青空に、どこまでも広い海。夕陽がちょうどいい角度で水面を染めている。

添えられていた言葉は――

【モルディブ、天気最高。いちばん大事なのは、会いたい人に会えること】

A:『時宗、休暇でナンパ狩り?』

柊時宗:『ナンパは網。俺は一本釣り』

B:『時宗、これって……?...

ログインして続きを読む