第59章 桜井雨音のために「身を守る」?

 必要とされている、相手が自分を失うまいと必死になっている――そんな感覚が、たまらなく心地いい。

 だが、それを桜井雨音はくれない。

 本当に瀬戸美月と付き合ってみたところで、どこかが満たされない。何が足りないのか――神崎康臣自身にも、うまく言葉にできなかった。

 歩いているうちに、いつの間にか海辺まで来ていた。

 ふいに足が止まる。視線が冷え、顔色が沈んでいく。

 少し先のビーチ椅子に、桜井雨音と柊時宗が並んで座っていた。グラスを傾けながら、楽しげに笑い合っている。

 瀬戸美月はパックを終えて、雑に美容液だけ塗り、慌てて追いかけてきた。だがヒールのある靴のせいで、ビーチの砂は歩...

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