第62章 桜井雨音は君が守り、君は私が守る

 箱から、蛇が飛び出した。

 白い輪と黒い輪が交互に走る胴。細長い尾。――見ただけで分かる、毒蛇だ。

 桜井雨音は我に返り、反射的に箱を放り投げた。

 だが蛇は、すでに跳ね上がっていた。牙を剥き、雨音めがけて襲いかかる。

 隣の司会者は顔面蒼白のままマイクを握りしめ、悲鳴を上げた。

 会場は一瞬で阿鼻叫喚。

 誰もが後ずさり、本能のまま危険から逃げようとする。けれど雨音だけは逃げ場がない。毒蛇がちろちろと舌を吐き、彼女の手首へ噛みつこうとするのを、ただ見つめるしかなかった。

 その瞬間。

 二つの影が、ほとんど同時に跳んだ。

 より近く、より速かった神崎康臣が、柊時宗よりも...

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