第67章 雨上がりの晴天、いいね

「誰だ?」

 ノックの音に、桜井晋太郎はさっとエプロンで手を拭いた。出来たての鱸の清蒸しを一瞥し、慎重に皿ごと食卓へ運んでから、玄関へ向かう。

 観葉植物に水をやっていた桜井敏恵も気づき、庭先へ目をやった。

「誰か来たの? 佳祐じゃない?」

「佳祐は今朝、明日着くって連絡してきたばかりだ。この時間なら隣の柳さんだろ。ここ数日お前の調子が悪いから、卵を分けてもらって届けてもらうよう頼んでたんだ――」

 扉の向こうに立っていたのは、桜井雨音だった。

 六年ぶりだ。父のこめかみの白髪は増え、四角い顔には皺が刻まれている。

 小さいころ、雨音はよく父の肩車が好きで、はしゃいでいた。けれ...

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