第70章 そんなに儲かるの?彼女はどうして知らなかったの?

桜井敏恵「さっき、調味料を買い忘れちゃって。雨音、あっちの棚から一袋取ってきてくれる?」

「うん」

 桜井雨音には分かっていた。母は自分を席を外させたいのだ。

 娘が離れたのを確認してから、桜井敏恵はようやく口を開く。

「朝も言ったでしょう。まだ……考えてるの」

「考える考えるって、その話、三か月前に俺が持ち出したよな? そのときも『考える』って言った。だから時間もやった。なのに、今日まで引き延ばして、結局まともな返事は一つもなしだ」

 桜井敏恵は眉をひそめた。

「長いこと一緒にやってきたんだから分かってるでしょう。私が得意なのは、サスペンスやホラー寄りの中編まで。だいたい二十...

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