第73章 彼女は金持ちについて行ったんじゃないのか?

 ちょうど冬休みの時期で、ほとんどの学生は帰省している。校内はがらんとして、風の音ばかりがやけに響いた。

 門の近くで立ち止まっていると、警備員が気づいてこちらをじろじろと見回す。

「大学も休みだし、先生に会いに来たのかい?」

 受験生の高校三年だけは補習があるらしく、校舎のほうにはまだ授業の気配が残っていた。

 桜井雨音が口を開くより早く、警備員は背中に回した手をひらひら振り、こほんと咳払いをする。

「入っていいよ。静かにな。三年の授業の邪魔はするなよ」

 桜井雨音「……」

 やっぱり、沈黙は金だ。

 本当に先生に会いに来たわけじゃない。校舎には向かわず、運動場をぐるっと二...

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