第81章 5億、彼女は後ろめたくない

「高利貸か?」

 五千万……一生働いて、飲まず食わずで貯めたって、届かない額だ。

 桜井雨音は後ろめたさから視線を泳がせた。

「ここ数年、私だって何もしてなかったわけじゃないの。少しは貯めてたし」

 そのとき、ずっと黙っていた桜井敏恵が、ふいに口を開いた。

「……どうやって貯めたの?」

 その目には、かすかな鋭さが宿っている。

 雨音はため息をついた。外で流れている噂を、母も多少は耳にしているのだろう。

「お母さん。このお金は全部、ちゃんとしたルートで、私が自分で稼いだものだよ。やましいところなんてないし、堂々と使える」

 嘘じゃない。

 あの頃、神崎康臣は雨音と一緒にな...

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