第82章 何も成し遂げずに親のすねをかじる?

吉田琴音はにこやかに笑い、すっと歩み寄ると桜井賀之の腕にからみついた。

「まあ、偶然。弟妹さん、こんなところで会うなんてね」

桜井敏恵も笑顔で会釈する。

「二嫂」

「敏恵さんと雨音ちゃん、マンションギャラリーに何しに来たの? まさか買うつもり?」

「違います」

――昨日もう買った、とは言わない。

「へえ……」

吉田琴音は敏恵を上から下までじろりと眺め、口元の笑みをさらに深くした。

「私たちは見に来たの。ここのレイクサイド・パール、いま話題の人気物件なんだよ? 高層はほんっとに空きがなくて、みんな営業さんに何とかしてもらおうと必死らしいの。順番待ちなんて当たり前で、買えない人...

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