第83章 彼女がまさか別荘を買った?!

 そう言いながら、彼女は手にしていた書類を差し出した。

 桜井雨音は目を通し、原本であることを確認すると、今度は自分が持っていたコピーを彼女へ渡す。

 交換が終わると、紀子はようやく大きく息を吐いた。

「本当に申し訳ありません。別荘の手続きは初めてで、流れがぜんぜん分からなくて……お時間、取らせてしまいました」

「気にしないで」

 横で見ていた吉田琴音は、言葉自体は全部分かるのに、意味がつながらず頭が真っ白になっていた。

「ねえ……いまのって、何の契約書?」

 吉田琴音が、紀子の手にある書類を指さす。

「不動産売買契約書ですけど」

「……誰の?」

「もちろん、桜井のお姉さ...

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