第84章 家族みんなが知った

そう考えた瞬間、吉田琴音の胸の奥が、つんと酸っぱくなった。

 桜井家の三兄弟。長男がいちばん恵まれているのは、誰が見ても明らかだ。何しろ大社長。もう「普通の家庭」とは住む世界が違う。

 次が、うち。

 桜井賀之は上を見ればきりがないけれど、下を見れば十分すぎる。両親のコネと人脈で検査会社のマネージャーに収まり、暇なわりに年収は30万ほどある。

 自分は電力局の安定職。さらにアキもそこに入り込んだ。どう転んでも、生活に困らない中流家庭――むしろ余裕すらある。

 いちばん厳しいのが、三男一家。

 翠嵐大学に受かったところで、結局は地元に戻って貧乏教師。融通の利かない頭でっかちで、副収...

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