第85章 大女主の自己啓発スープ

「それでも構わん。売掛が回収できて資金繰りが楽になったら、少し上乗せしてでも他人の手から買い戻せばいいだけだ」

 藤原蓉子は唇を動かした。――結婚の新居を中古で買う家がどこにあるのよ、と言いたかった。

 けれど、夫がそこまで言う以上、そして会社の状況が確かに苦しい以上、蓉子は飲み込むしかなかった。

 ただ、レイクサイド・ヴィラのことは、彼女の胸に棘のように刺さって残る。

 買わないのも悔しい。買いたいのに金がない。

「本当に……レイクサイド・ヴィラなの?」蓉子は電話口で、もう一度だけ念を押した。

 吉田琴音が唇の端をつり上げる。ほら、誰だって信じられない。あの気弱そうな三男一家が...

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