第101章 母子決裂

それを聞いた瞬間、瀬戸北斗の動きが一拍だけ止まった。だが次の瞬間には、まるで何も聞こえなかったかのように、そのままリビングへ向かって歩き出す。

家政婦の胸がひゅっと縮む。嫌な予感が、背筋をなぞった。

玄関を回り込み、リビングへ入った瀬戸北斗の視界に飛び込んできたのは、保坂琴美の――背筋の伸びた、優雅で端正な後ろ姿だった。

物音に気づいた琴美が振り返る。息子の顔を見た途端、頬に柔らかな笑みが浮かぶ。

……が、その視線が瀬戸北斗の腫れた頬に落ちた瞬間、表情が凍りついた。

「北斗……!」

琴美は立ち上がり、ヒールを鳴らして駆け寄る。近づいて初めて分かった。赤く腫れた箇所は、指の跡までく...

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