第106章 イカれ女

「立花部長、例の書類ならもう本社に回して承認もらいました。立花社長も『問題なし』って」

立花柊は、その場で固まった。

――越権して、本社に直で上げた? しかも通った?

……いや。

立花柊は小さく首を振る。見落としたんじゃない。気づいたうえで、あえて指摘しなかっただけだ。自分を恥をかかせるために。

「正しいものは正しい。間違ってるものは間違ってる。本社が『問題ない』と言ったからって、あなたが本当に――」

言い切る前に、坂東敏恵が片手を上げて遮った。

「自分の立場、分かってない人っているよね。こんなところに左遷されてきたくせに、まだ偉そうにしようとしてさ」

彼女は持っていたコーヒ...

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