第11章

たった一夜の過ちで――本当に、妊娠したの?

「お嬢さん、ほら」

医師が手を伸ばし、立花柊の目の前でひらひらと振った。

「戻っておいで。どれだけここで固まってたと思ってるの」

立花柊ははっとして顔を上げた。瞳の奥は、まだ霧がかったまま。

医師は軽く咳払いし、さっきと同じ問いを、今度はよりゆっくり投げる。

「で、どうするの。この子、産む? それとも……」

立花柊は息を呑み、唇だけがかすかに動く。けれど声にならない。

検査票の「妊娠4週」という文字が、紙の上で冷たく光って見えた。

きゅっと唇を結ぶ。

突然降ってきた命。

立花柊は、眉を寄せたまま長い時間考え込んだ。それでも結論...

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